本についていくつか。

息子の病院研修も第二週目に入りました。こちらは粛々と。さて、ここんとこ本について何も書いてなかったので、備忘的にいくつか。


ずっと図書館で借りては読み続けてた、ガース・ニクスの『王国の鍵シリーズ』の最終巻『復活の日曜日』が昨年12月に発行されましたが、なかなか図書館に入らず。で、ようやく配本されたので、ダッシュでリクエストして借りてきました。除染のシーンなんかが妙に生々しかったり、あいかわらずへんなおちゃらけが盛り込まれたりしながら、最終シーンに向かって話がどんどん突き進んでいって、最後は文字どおり「どかーーん!」でした。「主人公自らの手によって"第二のセカイ"を崩壊して全部ナシにする」というモチーフは、梨木香歩さんの『裏庭』のそれとおなじく、オールハッピーではなくて非常に大きな犠牲を伴うものだったけど、それについては結構さらっと描写してるのが印象に残りました。このほか、セカイの作り直しをする際に、「バックアップ」を利用するという発想はおもしろくおもいました。


つづいて、上橋菜穂子さんの『獣の奏者』の探求編および完結編について。上橋菜穂子さんの本は「守人シリーズ」はじめ、熱狂的にハマっておりまして、この『獣の奏者』のはじめの二巻(闘蛇編・王獣編)についてももちろんそう。しかし、NHKで『獣の奏者』がアニメ化されたあとに出されたこの二冊については、なんだか読むのがこわくて読めずにいたのでした。


というのは、アニメにでてきた闘蛇や王獣が、自分のイメージと余りに違ったというか、ちょっと陳腐なかんじ(すみません)にしかみえなくて 大変がっかりしたので。『指輪物語』のエルフやゴクリにしても、『ナルニア国物語』のアトラスにしても、なんとなくこんなかんじかなーって自分の頭のなかに描いていたイメージが、映像作品として世の中にでてしまうことによって「これです!」って決めつけられるのが本当にイヤだったな。まして、それが、ナニコレ#としかおもえないものだと、さらにアタマにきてしまいます。


今回、出版から三年もたって、ようやく闘蛇編・王獣編を手に入れて、おそるおそる読んでみました。そしたら、さすが上橋菜穂子さんだ、NHKアニメで登場した闘蛇や王獣のイメージをぶっとばすようなものすごい描写と表現力でもって、私のアタマのなかに新しいイメージをわきおこしてくれたのでした。その手助けとなったのが、描写のなかにたくさんでてくる「匂い」と「音」の言葉。二次元だからこそこの目に見えないふたつが、ものすごく印象的に迫ってくるのです。ああ すばらしい。もっとはやく読めばよかった。大変おそまきながらではありますが、読めてよかったし、この二冊も繰り返し繰り返し読みことになるでしょう。


このほか、リック・リオーダンの「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々シリーズ」のシーズン2『1.消えた英雄』も意外とおもしろかった。というのも、シーズン1では最後のほうになって話がダレてきて、ちょっとがっかりだったもんですから、あまり期待しないで読み始めたという経緯があったので。このシーズン2は、シーズン1はじめらへんの勢いを盛り返してるかんじです。次の巻が待ち遠しい!